現代のマクロビオティック

マクロビオティック(英文:macrobiotic)とは、長寿食、食養料理、自然食の意味で、1930年代以降、CI協会の創設者である桜沢如一が提唱した食事法である。
 このマクロビオティックは、中国五千年の陰陽の理念を基礎とした伝承療法で、食事による健康維持、体質改善、治病などを目的としている。別名「食養」ともいわれている。
 
 食養は伝承療法を基礎としているので、基本の理念は変わらないが、手法については、指導者間で若干の相違があり、また、時代とともに変化している。
 
 この意味で、以下は、日本CI協会として、「現代」のマクロビオティック(食養)の概念を説明したものである。
 
 食養は食品の、品質、選択、摂取、適用などの各基準などから構成されている。  
 また、その基準の取り扱いは非常に厳正である。その効果を追求するためには当然のこと、といわねばならない。

  食品の品質基準

 食養で使用される食材には、以下の品質基準が必要である。

①農産物は栽培の過程で、肥料は有機肥料に限定し、除草、殺菌、殺虫など、いかなる理由でも農薬を使用していないものとする。収穫後の保存についても同様とする。

②加工食品は製造の過程で有害な抽出剤や添加物、化学調味料などをしようしていないものとする。天然ニガリなどの無害な天然添加物は許容される。製造は圧搾法などの古式製法等によるものとする。

③DNA操作による遺伝子組み換えによる食材は認めない。

2 食品の選択基準

①身土不二の原則
 国内産を原則とし、例外的に輸入品を認める。ポストハーベストの問題には十分な注意を必要とする。

②陰陽の原則
 食品ごとの陰陽を確認し、体質、症状などの陰陽に適応する食品を選択する必要がある。牛、馬、豚のような動物性食品は陰陽の点から禁止されている。

 3  食品の摂取基準

①一物全体の原則
 野菜は、根、茎、葉などの全体を摂取することが大切で、一部のみ(たとえば、根のみ)では不十分である。この原則から、精製された白米を避けて,玄米や分搗米などをとるべきであり、精製糖は忌避されるが、黒砂糖は認められている。魚類も小魚が推奨されるわけである。

②水、茶などの水分について
 体質や症状に応じて加減する必要がある。高齢者などの場合、涸渇に対し鈍感になるので血中濃度が濃くなり、各種の梗塞を起こすおそれがあるので、常に十分な水分の補給に努める必要がある。

③糖分の制限
 糖質はカロリーに転化しやすいので一日の摂取量を制限する必要がある。

④塩分の制限
 高血圧、心臓病、腎臓病などの原因になるので、許容量の範囲内にとどめる必要がある。

⑤食材の組み合わせ基準
 病状、体質などに応じて別表「マクロビオティック食事法の十段階」の組み合わせを指針とする必要がある。

4 食用の適用基準

 体質、症状に応じて、食品ごとの効用を有効に利用する必要がある。医食同源とも言われている。この適用基準には、伝承による適応基準と保健機能所品の基準とがある。
 
①伝承による適応基準人類の長期の経験から、具体的な体質症状に応じて特に効用が著しい食品が明確になっている。たとえば、肺炎に対する鯉パスター、心臓病に対する卵醤、などのとおりである。
 
②保健機能食品保健機能食品が施行され、体質を調整する作用がある食品が明確になった。これには次の基準がある。
 イ・特定保健用食品
 ロ・栄養機能食品(サプリメントを含む)
 ハ・特別用途食品
 
 食品の適応基準は体質改善や治病などの目的のため、他の基準に優先して一定期間、適用される場合がある。

 5 生活習慣に関する原則マクロビオティックに付随する生活習慣の原則は次の通りである。
 
 ①食事は一口ごと20回以上は咀嚼すること。
 
 ②食事の量を腹八分眼程度にとどめること。
 
 ③間食は健常者には許容されるが、糖分に注意すること。
 
 ④タバコは禁止されている。
 
 ⑤酒類は健常者に限り、少量が許容されている。
 
 ⑥種々なストレスに注意し、克服すること。
 
 ⑦睡眠や休息を十分に取ること。
 
 ⑧毎日、適度な運動をすること。
 
 ⑨定期的な検診を受け、健康状態をチェックすること。

 6 参考
 

 
①マクロビオティックには、前記の通り各種の厳正な基準があるが、他面、これらの基準に該当しない食品や実践方法は自由に選択して差し支えない。
 
②マクロビオティックには前記したような各種の基準があるので、その実践は、容易ではない。この点に対応したのが「マクロビオティック入門食材」や「マクロビオティック入門食品」である。これらは前記した各般の品質基準、選択基準などに合格したものなので、実践者にはこの利用を勧めたい。
 
③体質症状などの陰陽判定やざいたくで検診を受けるには、CI協会のトータル・ケア・システムが便利である。

日本CI協会より、月刊誌「マクロビオティック」の転載許可をいただき掲載しております。